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国会では予算委員会が開催され
TV放映されていますが、補正予算とは 関係ない質問が続いています 下記の記事に対しては800億円の予算がついているそうです 巨大地震 最先端医療技術の実用化を推進する内閣官房の医療イノベーション推進室は16日の会合で、東日本大震災で被災した東北地方沿岸部に、患者一人一人の体質に合った医療を行う未来型医療の拠点を確立する、東北大学の「東北メディカル・メガバンク構想」を支援していく方針を決めた。 震災で東北地方沿岸部は医療機関が被害を受け、地域医療体制を抜本的に立て直す必要性が指摘されている。 東北大の構想は、地域の医療基盤の復興に合わせ、患者それぞれの体質に合う「オーダーメード医療」の拠点を形成するプラン。 患者の遺伝情報と診療情報をデータベース化したり、病院間の高度な通信システムでデータを共有する仕組みを整備したりする。今後、内閣府を通じ関係する省に予算化を働きかける。 (2011年6月17日00時49分 読売新聞) しかし一方では次のような意見もあります 本当に被災者や被災地に届くようなものであって欲しいですね 2011年9月13日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp --------------------------------------------------------------------- 政治状況が多少落ち着きましたが、国難ともいうべき状況は変わっていません。 私は、東日本大震災の救援活動に関わってきたこともあり、復興に個人的な思い 入れがあります。 東北大学を中心に、東北メディカル・メガバンク構想が提案されています。これ を復興計画に含めるには無理があります。この計画で、実際に実施することは、 下記、2点だけです。いずれも、同様の試みが既にあり、オリジナリティはあり ません。予算獲得のための付け焼刃の構想に見えます。 1 ヒトの遺伝子情報を集積する研究センターを作ること 2 医療情報の電子化とネットワーク化 この二つは独立したものであって、互いに直接関係ありません。目的として大き いのは遺伝子研究のようです。医療情報のネットワーク化はおまけです。全体と して、研究者主導です。 あるいは、研究内容と無関係に、単に研究費が欲しい人たちが計画を進めている のかもしれません。背景として、日本では、高等教育、科学研究費の予算が徹底 して削減されていることがあります。東北大学を含めて、日本の大学が疲弊して いることは間違いありません。予算の削減は、日本が急速に貧しくなり、さらに 貧しくなりつつあること、高齢化によって、社会保障費に莫大なお金が必要に なったことによります。 一番目のヒトの遺伝子情報の集積については、研究者、大手建設会社、研究関連 の企業には確実にメリットがあります。逆に、最も疲弊している被災地、すなわ ち、福島県の浜通り、宮城県の石巻・女川から気仙沼まで、岩手県の三陸海岸の 被災者にはまったくメリットがありません。つらい思いをして、故郷を離れた被 災者にも何のメリットもありません。 創薬研究、橋渡し研究がうたわれていますが、日本の大学の研究者は実用化を安 易に考え、臨床家から見ると信じられないような夢を見ます。現実を踏まえた実 務能力に欠けるため、研究者主導の試みが実用化することはほとんどありませ ん。実用化、産業化は別のステージの研究です。別の組織と研究者が必要になり ます。本構想に予算を付けることは、研究のための研究に予算を付けることに他 なりません。 二番目の医療情報のネットワーク化によって最も利益を受けるのは、大手のIT 企業です。被災者に一切メリットはありません。 医療情報のネットワーク化は、本来、特定地域の医療に大きな影響力のある大病 院が地元の開業医や自治体と協力して開始すべきものです。患者情報の医療機関 同士でのやりとりの構図が単純で、実用化のための協力体制を構築しやすいから です。確実な成果を得た上で、徐々に拡げていくべきものです。この分野でほと んど実績のない基礎研究者が思いつきで言い出したものに予算をつけても、無駄 になる可能性が高いと思われます。結局、大会社にお金が渡るだけです。これが 回りまわって、被災者のメリットにつながるという意見もあろうかと思います が、それを認めるとあらゆるものが復興計画になってしまいます。県単位に拡げ るとすれば、先行研究で実績を残したところが担当すべきです。 この構想を説明するための東北大学のスライドには、「東北メディカル・メガバ ンクの医師・コメディカルスタッフを被災地域の病院に派遣・常駐させて地域医 療復興を支援する」と書かれています。研究者が派遣業まで開業しようというの でしょうか。この枠組みでは、遺伝子研究をしたい基礎医学者しか集まりませ ん。被災地で働こうという医師は、臨床医学を中心にした教育、地域での地道な 医療活動から生まれます。研究者主導のメガバンクから地域に派遣されるとなれ ば、臨床医は参加しません。ましてや、コメディカルスタッフを「派遣・常駐」 させることなど絵空事です。麻酔医の確保もままならない大学が、過疎の被災地 で働く医師を集められるとは思いません。無理すると、大学全体から、真面目な 臨床医が立ち去ることになります。 私は、復興財源を使うことを正当化するための4条件を提案します。すくなくと も、どれかを満たす必要があります。 1.地元の被災者の生活の維持と再建に直結すること 2.被災者の雇用に直結すること 3.被災者を多数雇用する地元企業にお金が落ちること 4.被災地を後にした被災者の再就職と生活再建に直結すること 増税までして復興に回そうとするお金が、研究者と大企業だけを潤すのは許され ることではありません。 私は被災地の復興を望みますが、被災者の生活再建が最も重要だと考えていま す。地域に立派な建物が建つだけでは、復興とは言えません。ある地域が繁栄す るための必須条件は、その地で生活する住民の幸福度の総和が大きくなることで す。これは、被災地の住民数を多くし、一人当たりの収入を多くできれば、ある 程度達成できます。 しかし、東日本大震災の復興は、地域の繁栄だけを目指すべきではありません。 東日本大震災では、故郷にとどまりたくてもとどまれない被災者が、多数故郷を あとにしています。この人たちを含めた復興が必要です。 私には、東北メディカル・メガバンク構想の予算要求は火事場泥棒に見えます。 大学の予算が足りないからといって、誇りまで捨てた行動をとると、未来を失う ことになりかねません。遺伝子情報の集積については、本来、震災復興と関係な く、科学研究として文部科学省に予算要求すべきものです。医療情報のネット ワーク化については、震災復興とは関係なく、総務省に予算要求すべきもので す。この構想に1000億円から1500億円もの予算が必要だと伝えられています。こ れが本当なら、被災者を冒涜するものと言ってよいのではないでしょうか。この 構想に予算が付くとすれば、復興予算全体の論理が歪みます。
by sun-flower-k
| 2011-09-28 14:24
| 日記
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